移植時には子宮内膜がぎゅっと詰まった(compaction)方が良い?

着床前スクリーニングをして正常な受精卵を戻した際に、子宮内膜の状態(黄体補充前と黄体補充後の移植時)で妊娠率に差があるかどうかを比較したカナダからの報告をご紹介します。単一施設での研究で正常胚を戻した234名のホルモン補充周期で作成した子宮内膜のcompactionの程度で妊娠率を比較しています。ホルモン補充周期の内膜は月経周期2-3日目からエストロゲンを投与し内膜が7mm以上になったら黄体補充を開始します。黄体補充後の移植時の内膜の厚みを測定し投与前後の内膜のcompactionの程度として示しています。結果はcompactionレベルが高い方が高い妊娠率につながりました。またcompactionしづらい患者様は反復着床不全の患者様が数多くあり着床不全の原因の一つと考えられ、今後更なる解析が必要としています。

Compactionの程度 Compactionありの妊娠率 Compactionなしの妊娠率 有意差
5%カットオフ 44.3% (43/97) 30.5% (39/128) あり
10%カットオフ 45.3% (39/86) 30.9% (43/139) あり
15%カットオフ 51.5% (34/66) 30.2% (48/159) あり
20%カットオフ 54.9% (28/51) 31.0% (54/174) あり
Compactionカットオフ別の妊娠率


  Compaction群 非Compaction群 有意差
患者数 66 159  
年齢 35.7±4.2 35.9±3.7 なし
BMI 24.0±4.2 24.2±4.7 なし
P補充前内膜 10.2±1.9 9.1±1.8 あり
移植時内膜 7.4±1.7 9.9±2.1 あり
compaction 15%カットオフの患者特性

Zilberberg Eら, Fertil Steril. 2020 . doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.12.030.

(私見)

子宮内膜の厚みは移植時にとても意識する項目です。当院では黄体ホルモン補充前の子宮内膜8mm以上を目指します。ここはクリニックにより7mmだったり、7.5mmだったり様々ではありますが、が基本7-9mmに設定している施設が多いのではないでしょうか。患者様に応じて治療方針を決めておりますが、なんといっていいかわからない微妙な感覚を感じる時もあります。その中の一つが子宮内膜蠕動(当院では行なっておりません)かもしれませんし、このcompactionかもしれません。患者様から移植前に「内膜が薄くなった気がしますが大丈夫ですか?」と質問されることがあります。私は患者様に「黄体補充を行うと人それぞれですが内膜がぎゅっと詰まった感じが出る人がいます。決して成績には左右しません。」と話していました。この報告では内膜が15%以上compactionする方が28%程度いて妊娠率が高いと記載されています。実際には、内膜が15%以上compactionする方はそんなにいない気がしますが、内膜の測り方は主観も少し入ってしまいますので、データを再評価し厳密に評価してみたいと思います。また少し正常胚を戻しているわりには妊娠率も高くないので、この辺りを複合的に判断していく必要があるかと思います。

文責:川井(院長)