新型コロナウィルスが感染男性の精液中から見つかる

新型コロナウィルスが感染男性の精液中から見つかったという論文を紹介します。
Li Dらは河南省の病院で2020年1月-2月に新型コロナウィルス感染症で治療した男性患者38名(50名中12名は様々な理由で精液採取できず)から精液を提出してもらいPCR検査でウィルスがいるかどうかを検討した。患者の23名は回復期で、15名は急性期であった。結果6名(15.8%)の患者の精液から新型コロナウィルスが同定された。急性期の患者は26.7%(4/15)、回復期の患者は8.7%(2/23)のウィルスの陽性率であった。
精液中にウィルスが同定された症例の特徴は下表で示すが、症例数が少ないので統計処理を行っているが精液中からウィルスが見つかりやすい背景はみつからなかった。

患者 年齢 発症からの期間 入院からの期間 回復からの期間 泌尿器科の疾患歴 他の合併症
1

20代 6日 2日 加療中 なし 冠動脈性疾患、高血圧
2

20代 10日 6日 加療中 なし 冠動脈性疾患
3

30代 11日 5日 加療中 なし なし
4

40代 9日 8日 加療中 なし なし
5

50代 12日 10日 2日 あり なし
6

30代 16日 13日 3日 なし 慢性気管支炎

Li Dら、AMA Netw Open. 2020,doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.8292.

≪私見≫

前回紹介したPanらによる34名のCOVID-19感染症の男性患者の精液からはウィルスが同定できなかったという論文は、どちらかというと新型コロナウィルス感染の離脱期の患者の精液での検討でした。今回のLi Dらの報告は急性期の感染症例を含む報告です。もちろん精巣内への直接的なウィルスの関与がないにしても、精路(精細管・精巣上体・精管・精嚢・ 前立腺・尿道)のどこかでウィルスの混入があってもおかしくありません。Panらの論文にあったように「陰嚢の違和感」という臨床症状がスクリーニングの突破口になると面白いですね。今回の論文には患者の臨床症状は触れられていません。また今回の論文でも精液検査について記載はありませんでした。前回「非常事態宣言中にタイミングはとっていいの?」というブログでは、「腟粘液・精液からの感染はないのでは」と私の意見を記載しましたが、新型コロナウィルス感染にかかっているパートナーがいれば治癒するまでは性交渉は避けることが好ましいかもしれません。私たち生殖医療に関わるスタッフも新型コロナウィルス患者の精液検体を扱うことが出てくるかもしれませんので、今後、徹底した感染管理と事前のシナリオ練習が必要だと感じています。無症候性の新型コロナウィルス感染もあるわけなので、私たち不妊治療に関わる医師としても細心の注意を払う必要があると考えます。

(関連ブログ)

非常事態宣言中にタイミングはとっていいの?http://www.kameda-ivf.jp/blog/post_72.html

文責:川井(院長)