排卵障害患者(タイミング・人工授精)へのHMG、FSH製剤を用いた卵巣刺激

排卵障害は不妊原因の25%を占めると言われています。そのうちわけは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や高PRL血症を含む視床下部-下垂体-卵巣系の機能不全が85.0%、次に多いのが視床下部-下垂体性の機能不全(脳からのホルモンが卵胞発育をさせるのには不足している)が10.0%、そして卵巣自体が排卵できないという卵巣機能不全が5.0%と言われています。アメリカ生殖医学会の診療委員会は排卵障害に対してのHMG、FSH製剤を用いた卵巣刺激療法の見解をだしていますので、こちらを提示したいと思います。
Fertil Steril. 2020 Jan;113(1):66-70. 

≪要約≫

①この治療に関して経験を積んだ医師が行う方が好ましい。
②卵巣刺激の1番の目的は単一卵胞発育(複数排卵させないこと)でコントロールが難しいこともある。
③単一卵胞発育に調整することは多胎避けるためである。
④卵巣刺激を行うと完全に多胎妊娠、そして卵巣過剰刺激症候群を避けうることができない。
⑤治療前になぜ卵巣刺激を行うか説明すべきである。
⑥ゴナドトロピンを連日投与する場合は1日37.5~75単位の低用量から開始し単一卵胞が育てるために注意深く増量することが好ましい。
⑦もし2個以上の16mm以上の発育卵胞があった場合、3個以上の中等度の卵胞発育があった場合は治療(タイミング・人工授精)をキャンセルすることを考慮すべきである。
⑧黄体補充は視床下部-下垂体性の機能不全の方には必要だが、そのほかの排卵障害の方には当てはまるわけではない。

≪私見≫

現在、当院を含めて日本ではHMG注射よりクロミッド・レトロゾールを用いた内服薬での卵巣刺激を行うことが一般的です。ただし、一定数HMGやリコンビナントFSHを用いた治療を行わなくてはいけない患者様がいらっしゃいますので、当院では上記のガイドラインにしたがって治療を行っていきたいと思います。唯一当院の治療法と異なるところは⑥です。日本人は低体重なことも多く50~75単位でリコンビナントFSHをスタートすると多排卵を起こす方がいらっしゃいます。こちらは行う際に事前にご相談させていただきますのでご理解いただければと思います。

文責:川井(院長)