透明帯孵化補助

今回は透明帯孵化補助のお話をさせて頂きます。
卵子は透明帯と呼ばれる殻に覆われています。卵子は、1個の精子が卵子の中に入る受精が起きた後、余分に精子が入ってしまう多精子受精を防ぐため、透明帯を固くして2個目以降の精子の侵入を防ぎます。受精後、卵子は細胞分裂を繰り返して1細胞-2細胞-4細胞-8細胞と細胞数を増やしていきますが、個々の細胞は独立しており、透明帯が無いと細胞はバラバラになってしまいます。透明帯は増えた細胞をバラバラにせず一緒に留めておく大切な役割も担っています。しかし、受精卵は8細胞以降、融合して風船のような形に姿(胚盤胞)を変えます。これは、風船の膨らみにより透明帯に亀裂を入れて透明帯の外に出る(孵化)ためです。受精卵が子宮内膜に接着(着床-妊娠)するためには、受精卵は完全に孵化をしなければなりません。逆に、完全に孵化出来なければ妊娠に至ることはありません。

良好な受精卵を戻しても妊娠しない原因は様々ですが、受精卵が透明帯の外に出ることが出来ない孵化不全もその一つと考えられます。孵化不全が起きる要因として考えられるのは、透明帯が固くなる透明帯硬化です。透明帯硬化の原因は様々ですが、受精卵を凍結すると透明帯硬化が起きると言われています。しかし、全ての受精卵が凍結融解により透明帯硬化が起きる訳ではなく、また、透明帯硬化が起きたかどうか見た目では分かりません。そこで当クリニックでは凍結融解した受精卵全てに対して、レーザーにより透明帯の一部に穴を開けて孵化を補助する透明帯孵化補助を実施しております。

文責:平岡(培養室長)