卵子活性化処理

今回は卵子活性化処理のお話をさせて頂きます。

以前のブログ記事に当院の2018.11~2019.10の顕微授精の受精率は81.4%と報告致しました。当院で顕微授精を実施した患者さんの中には、この受精率を大きく下回る方がいらっしゃいます。

顕微授精をしたにも関わらず受精しない原因の一つに卵子活性化障害が考えられます。卵子の中に精子が入って正常な受精反応が起きる際、卵子内部のカルシウムイオン濃度が上昇する(卵子の活性化が起きる)ことが知られています。このカルシウムイオン濃度の上昇は精子が引き金となって起こる現象で、起こる仕組みは現在3つ提唱されていますが、動物種により仕組みが異なると考えられており、また、複数の仕組みが使われている可能性もあります。

顕微授精により精子が注入されても、精子に何らかの問題がある場合、卵子内部のカルシウムイオン濃度が上昇せず(卵子が活性化せず)、その結果、受精しないと考えられます。

仮に精子に卵子を活性化する力が不足していると考えられる場合(当院では過去の顕微授精後の受精率が30%を下回る場合)、卵子活性化処理を行います。これは高濃度のカルシウムイオン濃度が含まれている培養液に顕微授精後の卵子を浸漬することで、人工的に卵子内部のカルシウムイオン濃度を上昇させることで受精の手助けをするものです。

活性化処理にはカルシウムイオノフォア、ストロンチウム、電気刺激等が用いられていますが、当院では最も妊娠出産の報告が多いカルシウムイオノフォアを使用しています。

文責:平岡(培養室長)