顕微授精について②

今回は「顕微授精について」の2回目になります。
1回目の「顕微授精について」で、顕微授精は卵子の中に1つの精子を入れて受精を促す技術でICSI(イクシー)とも呼ばれていること、そして、顕微授精による赤ちゃんの誕生が初めて報告された1992年以降、従来から用いられているICSI技術である従来法のお話をさせて頂きました。今回の「顕微授精について②」ではピエゾ法についてお話します。

ピエゾ法は1995年に初めて報告されました。ピエゾ法では先端が平坦なガラス製の針が用いられます(図①)。ピエゾ素子(圧電体に加えられた力を電圧に変換する、あるいは電圧を力に変換する、圧電効果を利用した受動素子)を利用して、平坦な先端があたかも丸い彫刻刀であるかのように、卵子を変形させずに透明帯に穴を空けます。ヨーグルトにストローを差し込むとストローの中にヨーグルトが円柱状に入ってくるといったイメージでしょうか(図②)。図③のように透明帯がコルク状にくり抜かれたら、透明帯に穴を空ける工程は終了です。くり抜かれた透明帯のかけらを外に出して、精子を針の先端に移動します(図④)。そしてトンネルのように空いた透明帯の穴に針を通します(図⑤)。そのまま卵子の奥の方まで針を押し進め(図⑥)、奥の方で止めたところで、再度、ピエゾ素子の力を利用して膜に穴を空けます(図⑦)。ピエゾ法で最も特徴的なのは、この膜に穴を空ける工程です。前回紹介した「従来法」で膜に穴を空けるためには、膜を針の中に吸い込んで引き千切るように操作をする必要がありましたが、ピエゾ法では、膜を針の中に吸い込む必要は全くありません。紙に円の彫刻刀で小さな丸い穴をくり抜くといったイメージでしょうか。最後に精子を卵子の中に注入します(図⑧)。

現在、当クリニックで実施される顕微授精は全て、このピエゾ法で行われています。次回は、この経緯等についてお話させて頂ければと思います。

文責:平岡(培養室長)