体外受精の費用と助成金のこと

「体外受精は費用負担が大きいからなかなか治療に踏み切れない」「保険診療じゃないから高額な費用負担になる」という声をテレビやネットなどでもよく見聞きします。
今回はみなさんが気になっている体外受精の費用に関して、当院で実際に特定不妊治療費助成事業受診等証明書に記載したデータをもとに、採卵刺激から胚移植、そして妊娠の確認まで、体外受精でおおよそどれくらいの費用負担があるのかお伝えできればと思います。

まずは、助成金についてです。
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる、配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を支援する助成制度(特定不妊治療費助成事業)があります。
体外受精は確かに自由診療になりますが、ご夫婦合算の所得が730万円未満の場合は助成金の申請が可能です。
「あぁ、うちは夫婦合わせて年収1,000万円だから助成金の申請は無理だ…」と思っていませんか?
“収入”ではなく“所得”です。

夫婦がお互いに年収500万円(世帯年収1,000万円)を例に見てみると、
仮に諸控除がない場合でも、

●年間収入額(500万円)―給与所得控除額(154万円)-8万円=所得額(338万円)

夫婦合算の所得額は676万円となり、730万円未満なので助成金の申請が可能なのです。

実際の助成額については、一番症例数の多い2パターンを例に説明します。

  1. 卵巣刺激~採卵~胚移植~妊娠の確認
     助成金: 初回30万円 (それ以降は15万円)
  2. 凍結した胚の融解胚移植
     助成金: 7万5千円

当院で実際にかかる体外受精の費用からこの助成金をマイナスした金額が実際に患者様の負担額になります。下記が当院の平均費用になります。

  1. 卵巣刺激~採卵~胚移植~妊娠の確認までの費用
    新鮮胚移植 : 平均 約44万円
     (卵巣刺激+採卵+受精・胚培養+新鮮胚移植+凍結代金+妊娠判定)
    凍結融解胚移植: 平均 約57万円
     (卵巣刺激+採卵+受精・胚培養+凍結代金+移植の準備+凍結融解胚移植+妊娠判定)
    初回の助成金額30万円をマイナスすると患者様の平均負担額は14万円~27万円となります。
    ※エコー・採血や再診料など全て含んだ費用となります。
  2. 凍結した胚の融解胚移植の費用
    融解胚移植: 平均 約12万円
    採卵して複数の胚を凍結できた場合は、凍結胚を融解して胚移植のみ行うことが可能になります。
    助成金の7万5千円をマイナスするとおおよそ4万5千円ほどの実質負担で胚移植を試みることができるということになります。

人工授精の妊娠率は一般的に10%以下で当院の体外受精の平均妊娠率が50%(39歳以下の成績です。全体の成績はブログをご覧ください。)に近付いているということを考えると、人工授精と比べて体外受精は必ずしも高い治療ではないのかもしれません。
限られた時間ということもあり、経済的負担を実際に計算しながら夢を現実にする近道を検討するうえでの材料として今回の内容が参考になればと思います。

文責:筋野(品質管理培養室長)

助成金は初回助成の治療開始時の妻の年齢で上限回数があります。また無精子症などの高度男性不妊も治療も別途助成金の適応になります。自治体独自での助成金制度がある場合もありますので、詳しくはお住いの自治体の助成金制度をご覧ください。
http://www.kameda-ivf.jp/ja/consult/expense/index.html

※患者さまお一人おひとりに合わせて最適な治療をご提供できるよう治療方針をたてます。
刺激の方法や、顕微授精の有無、凍結する胚の個数等により費用が異なります。