当院での受精卵の培養液選定について

無事、卵子と精子が受精した『受精卵』は数日間、培養液の中で育てられます。培養液とは受精卵の成長に必要な栄養素が入っている液体です。培養液は多くの会社から多くの種類の培養液が販売されており、現在のところ、この条件の患者さんには、この培養液が最も適しているという発表はなされておりません。それぞれのクリニックが独自に工夫されて培養液の選定を行っています。今回は当クリニックでの培養液選定についてお話します。

当クリニックでは自施設でのこれまでの経験、国内外の他施設の報告・評判を基に3種類の培養液(A、B、Cとします)に絞って使用しています。

体外受精治療が初めての患者さんにはA培養液を使用します。過去に何度か体外受精治療をされている患者さんの培養液を選定する時は、過去の培養成績、受精卵の発育過程を顧みて判断致します。仮に、前回の体外受精治療においてA培養液により受精卵の凍結保存が出来た場合には、同じA培養液を使用します。前回の体外受精治療においてA培養液使用により受精卵の凍結保存が出来なかった場合、今度はB培養液を使用します。過去の体外受精治療においてA培養液、B培養液でも受精卵の凍結が出来なかった患者さんに対してはC培養液を使用します。

A培養液、B培養液、C培養液の2018年11月~2019年11月の妊娠率はそれぞれ46.8%、46.9%、45.9%となり、3種類の培養液の間に差は認められなかったことから、当院での培養液選定は大きく間違ってはいないと言えます。

残念ながらC培養液を使用しても凍結保存が出来ない場合もあります。このようなケースに遭遇した場合は医師と協議して培養液以外のところで出来ることは無いか考えて、変えられるところは可能な限り変えて、次の治療に臨みます。これを行うためには、過去の培養成績、発育動画の見直し、医師との連携が重要となります。この様な試行錯誤を繰り返しながら、最終的には、この条件の患者さんには、この培養液が最も適しているという最短距離の培養液選定が出来ればと思います。

文責:平岡(培養室長)