国内での生殖補助医療児の長期予後について

国内ではビッグデータによる生殖補助医療で生まれた児の長期予後についてはないものの、厚生労働科学研究「生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と生殖補助医療技術の標準化に関する研究」によりフォローされているデータがございますのでご紹介させていただきます。

国内の不妊治療を専門とするクリニックによって結成された団体(JISART)26施設を対象とし、不妊治療歴、身体発育、精神運動発達について調査検討を行っています。
新鮮胚移植と凍結融解胚移植により出生した児3004名、体外受精以外の不妊治療で出生した児726名、自然妊娠で出生した児671名の単胎例(3348名)のみを解析対象としました。
出生時には凍結融解胚移植で生れた児は自然妊娠児に比較し約70g体重が大きく、新鮮胚移植、および凍結融解胚移植でうまれた児では有意に身長が高かい結果となりました。しかし1歳6ヵ月時点では身長・体重とも自然妊娠で生まれた子どもとその差は消失していました。
精神運動発達については、1歳6ヵ月時点での精神・運動発達を示すKIDSスケールでは、「対子ども社会性」(他の子どもとの関わりの仕方)を除いて、自然妊娠児に比較して新鮮胚移植・凍結融解胚移植、体外受精以外の不妊治療で生れた児の3群ですべての項目で有意に得点が高くなりました。
限られた施設でのデータである点、両親の主観的な判断である点、アンケート調査なので発達遅延をもつ親が調査に参加していない、家庭環境が吟味されていないなどの理由も考えられ信頼性は低いですが、現在のところ精神運動発達が体外受精児に起こりやすいという結果にはなっていません。

学会などでは今後の追跡調査(6歳児)なども発表させています。公式の報告を待ちたいと思います。

文責:川井清考(院長)

子供が欲しくて妊活をされているカップルのために妊娠・タイミング・人工授精・体外受精について論文と当院の成績を参考に掲載しているブログです。内容が難しい部分があるのはご容赦ください。

亀田IVFクリニック幕張