流産した後、次の妊娠までどれくらい期間を開けた方がよいの?(論文紹介)

流産した後、再び妊娠を試みるまでにどのくらいの期間を待てばいいのか、患者様によく聞かれます。以前より少なくとも3ヶ月以上待つことを推奨しており、WHOは最低6ヶ月以上待つことを推奨しています。私も先述のとおり、2回目の月経が来るまでは積極的な治療をお勧めしておりませんでしたが、これらの推奨を支持するデータは数多くありません。比較的大きな臨床研究をみつけたのでご紹介させていただきます。

Obstet Gynecol. 2016 Feb;127(2):204-12.  doi: 10.1097/AOG.0000000000001159.

≪論文紹介≫

18~40歳の女性1,083人を対象とし、過去に1~2回の早期流産既往(妊娠 19 週未満: 99.8%、妊娠 8 週未満: 54.1%)があり、最後の妊娠転帰が子宮外妊娠や絨毛疾患ではなかった女性のアスピリンと妊娠の関係をみた研究の二次解析として行いました。
(The Effects of Aspirin in Gestation and Reproduction (EAGeR) trial (2007-2011):多施設共同、ブロックランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験で、妊娠前の低用量アスピリンの1日1回投与の効果を評価した研究で、本研究の結果として妊娠前の低用量アスピリン治療は妊娠する確率を高める可能性があるが、流産既往のある女性に対して予防効果がないことが示されています。)
参加者は、最大6回までの月経周期、および妊娠を達成した女性については周産期予後まで積極的に追跡されています。間隔は、妊娠しようとした思った開始日と流産日から計算しました。妊娠までの期間は、妊娠しようとした思った開始日から妊娠までの期間としました。年齢、人種、BMI、教育、不妊症の有無を調整して、妊娠可能性オッズ比(OR)を推定しました。

結果:
妊娠しようとした思った開始日と流産日の間隔が0~3ヵ月(n=765 [76.7%])のカップルは3ヵ月以上(n=233 [23.4%])待機したカップルに比べて出産を達成する可能性が高く(53.2%対36.1%)、出産に至るまでの妊娠期間が有意に短かい傾向になりました。(調整後の妊娠可能性オッズ比:1.71 [95%CI:1.30、2.25])。流産率の上昇もなく、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの周産期合併症は上昇しませんでした。
これらの結果から流産後、妊娠を希望される女性に関して避妊期間をとることを積極的に勧める根拠が乏しいことが示されました。

≪私見≫

流産から妊娠開始までの期間が短くても妊娠率の低下・流産率の上昇、そして間隔が短い女性では、着床周囲喪失を含む妊娠合併症のリスクの増加は認められませんでした。
流産はカップルにとって、精神的ストレスが強くのしかかります。次の妊娠に対して焦る気持ちと早期にトライして妊娠率が低下したら?などの失敗が随時つきまとうと思うので、こちらを少し解消する結果なのではと考えています。
この論文では流産術後の胎盤位置異常や癒着胎盤の発生率、分娩時出血量、内膜厚に関して触れられていません。また対象カップルも28歳前後であるため高齢女性とは少し結果が異なる可能性も否定はできません。
私たちは患者様に対して①流産後の精神的ストレスが緩和し次の妊娠に前向きに検討できる状態であり、②流産後一度月経開始し自身で排卵がおこる状態であり、③内膜厚などに違和感がなければ、3ヶ月待たなくてもタイミング・人工授精治療は相談の上、開始可能と判断しています。ただし、胚移植などの場合は焦らず万全の状態が整うまで待つことのほうがよいのでは?と個人的には考えて患者様に移植時期の提案をさせていただいています。

文責:川井(院長)

亀田IVFクリニック幕張