不妊症・反復流産の定義(ASRM 専門家委員会2020年の改定)

米国生殖医学会(ASRM)が不妊症、反復流産の定義を更新しましたのでご紹介させていただきます。これらの概念はWHOによって疾患に分類されており、米国医師会(AMA)、欧州生殖医学会(ESHRE)、国際ART監視委員会(ICMART)、ASRMを含む多くの専門家団体によって支持されています。
日本生殖医学会の定義もほぼ同義となります。

Fertil Steril. 2020 DOI: 10.1016/j.fertnstert.2019.11.025.
Definitions of infertility and recurrent pregnancy loss: a committee opinion

≪論文紹介≫

①不妊症とは
不妊症とは、歴史的には避妊しない性交渉を12ヶ月以上の定期的におこなっても妊娠に成功しない、あるいは自身もしくはパートナーの生殖能力の障害により妊娠できない状態と定義され、妊娠に対する機能障害をもつ疾患です。
不妊症の診断検査は、一般の病歴、性と生殖に関する病歴、年齢の上昇や生殖機能障害をきたす身体所見をもつ患者が来院した際には、すぐに開始するべきとされています。
病歴や疑わしい身体所見がない場合、35歳未満の女性では12ヵ月、35歳以上の女性では6ヵ月の時点で遅くとも治療を開始すべきとされています。また、40歳以上の女性では、より迅速な評価と治療が必要となる場合があります。

③反復流産とは
反復流産は、不妊症とは異なる疾患で、2回以上の自然流産と定義されます。
生殖器の部位の構造や機能に障害をもたらすような変異が認められるか、症状や兆候から生殖機能に異常をきたす場合、また原因があきらかでなくても反復流産と定義されます。それぞれの流産を慎重に確認し自身とパートナーを対象に評価を進めなくてはいけません。

≪私見≫

患者様に妊娠成績が伝わりづらい理由の一因として、定義が様々であることが考えられます。例えば、①妊娠は生化学妊娠を含めるか臨床妊娠からなのか ②体外受精成績は採卵あたりなのか、移植あたりなのか、受精卵あたりなのか などです。また、体外受精成績は日本産科婦人科学会がオンラインレジストリを作成してくれているので実際のデータがわかりますが、一般不妊治療のレジストリは存在しません。今後の少子化対策にとってデータを整理し社会に還元していくような仕組み作りが必要だと思います。
子供を望む患者様に対し、今後も生殖医療の見える化を進めていきたいと思います。

 

文責:川井(院長)